ヤマブキ (バラ科)
北海道から九州までの主として渓流沿いに自生(図1)するほか中国にも分布し、庭園にも多く植えられる落葉低木。細い茎が束生して高さ2mほどになり、先は枝垂れることが多い(図2)。
太田道灌の故事で知られる兼明親王の和歌「七重八重花は咲けども山吹のみの一つだに無きぞあやしき*」の影響で、ヤマブキは結実しないと思っている人が多いようだが、ヤマブキにも果実はできる。本来は1花から5個の果実ができるはずだが、そのうちのいくつかは成熟せず果実の数は4個以下のことも多い(図3)。
ヤマブキに限らず一般に八重咲の花は、雄しべや雌しべになるべきものが形を変えて花弁状になったものなので、結実しないのが普通である。兼明親王の歌に詠まれているのは現在は品種として区別されるヤエヤマブキ(図4)で、これには実ができないことが当時から知られていたことがわかる。標準的な花(図5)では花弁は5枚だが、同一個体に花弁の数がいくらか増減した花が混在することは珍しくない(図2)。花弁が細くて数がやや多い品種をキクザキヤマブキという(図6)。
シロヤマブキ(図7)は木の姿や葉の形がヤマブキにやや似ているが別属で、バラ科には珍しく各節に2枚ずつ葉をつける。
*『後拾遺和歌集』では「あやしき」だが「かなしき」に変えられて流布している。このことを確認するにあたって高中国語科の小池保則教諭を煩わせた。
太田道灌の故事で知られる兼明親王の和歌「七重八重花は咲けども山吹のみの一つだに無きぞあやしき*」の影響で、ヤマブキは結実しないと思っている人が多いようだが、ヤマブキにも果実はできる。本来は1花から5個の果実ができるはずだが、そのうちのいくつかは成熟せず果実の数は4個以下のことも多い(図3)。
ヤマブキに限らず一般に八重咲の花は、雄しべや雌しべになるべきものが形を変えて花弁状になったものなので、結実しないのが普通である。兼明親王の歌に詠まれているのは現在は品種として区別されるヤエヤマブキ(図4)で、これには実ができないことが当時から知られていたことがわかる。標準的な花(図5)では花弁は5枚だが、同一個体に花弁の数がいくらか増減した花が混在することは珍しくない(図2)。花弁が細くて数がやや多い品種をキクザキヤマブキという(図6)。
シロヤマブキ(図7)は木の姿や葉の形がヤマブキにやや似ているが別属で、バラ科には珍しく各節に2枚ずつ葉をつける。
*『後拾遺和歌集』では「あやしき」だが「かなしき」に変えられて流布している。このことを確認するにあたって高中国語科の小池保則教諭を煩わせた。







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