ウバメガシ(ブナ科)

神奈川県から琉球までと台湾および中国本土に分布し、主として海岸の岩場に生える。低木状のことが多いが高さ10m太さ60cmにもなることがあるという。常緑で枝葉を密につけるので生垣に用いられることも多く、また庭園樹ともされる。構内では、大学2号館の西側や大学3号館の北側で生垣に仕立てられている。

雌雄同株で花は4-5月に咲き、雌花は目立たないが雄花は短い軸に密集して垂れ下がる(図1)。果実は殻斗とよばれる椀状の器官に下部を覆われた長さ2cmほどの楕円体のどんぐり状果で(図2)、翌年の秋に熟して食べられる。

殻斗の外面の模様(図3)が同心円状でないことはカシ類ではないことを示しているのだが、それでもカシのような名がついているのは、硬い葉をつけた常緑樹であるからと思われる。ウバメは、褐色の若葉を姥芽と呼ぶことによるという。

材は非常に硬く、備長炭の原料であることはよく知られている。和歌山県の県木である。

ウバメガシ 雄花
図1 雄花。1971/04/27、文京区本郷

ウバメガシ 果実
図2 果実。1970/10/25、香川県小豆島蒲生

ウバメガシ 未熟果
図3 未熟果。1970/10/24、高知県室戸岬
※無断転載不可