スイカズラ(スイカズラ科)

日本各地や中国など東アジアに広く分布し、山野や路傍にふつうに生えるつる性の木本。つるの巻き方(図1)はアサガオ(図2)などとは逆向きで、ノダフジ(図3)などと同じである。この巻き方を右巻きとよぶか左巻きとよぶかは、日本でも諸外国でも決まっていない。

右巻きの貝殻や右ねじと似た形になるものを右巻きとよぶならばアサガオのつるは右巻きであるが、伸びる茎の先端の動きが上から見て右回りになるものを右巻きとよぶならばスイカズラのつるは右巻きである。混乱のもととなる左右の語を用いずに、支柱の手前に見えている部分の傾きに着目してS巻き/Z巻きという表現方法もある。これによればスイカズラのつるはS巻きである。

花は梅雨のころ葉腋に2個ずつついて横向きに開き、はじめ白色または微紅色でのちに黄色に変わる(図4,図5)。花冠の基部は筒状で先は5片に裂け、4片は上向きに反り1片は下にやや垂れる。花を摘んで筒部を吸うと蜜の甘みを感じることができ、これが和名の由来といわれるが他説もある。別名のニンドウは、冬にも葉をつけていることに着目した中国名の忍冬の音読みである。果実は球形の液果で秋から冬に熟して黒色ないし黒紫色になる(図6)。

日本でも勝手にはびこって庭木をいためることがあるが、ヨーロッパやアメリカなどでは観賞用に植えられたものが野生化して繁殖し、有害植物として嫌われることも多いという。

P8290654
図1 スイカズラのつる。1974/05/07、銚子市黒生

P8290655
図2 アサガオのつる。1990/10/21、練馬区石神井町

P8290656
図3 ノダフジのつる。1980/11/05、宇都宮大学工学部

P8290657
図4 スイカズラの花とつる。1978/05/26、千葉市稲毛区

P8290658
図5 スイカズラの花。1974/06/20、銚子市海鹿島

P8290659
図6 スイカズラの果実。1973/12/30、銚子市長崎
※無断転載不可