キンモクセイ (モクセイ科)

秋に香りの強い花をつける常緑樹として広く知られ、構内でもあちこちに植えられている。植物の名前で「キン……」というのはたいてい黄色の花をつけるが、キンモクセイの花は黄色というよりは橙色に近い(図1)。幹は明るい灰色で、暗い色をした菱形の模様が点在するのはギンモクセイなど同属の植物との共通点である(図2)(図3)
キンモクセイ属の植物は日本にも数種が自生するが、そのほとんどは九州南部、琉球、小笠原などに分布し、一般に親しまれているキンモクセイ、ギンモクセイは中国原産である。これらは庭や公園で花を見ることは多いが結実したのを見かけないのは、雄株ばかりが輸入され機能する雌しべをつける株が渡来しなかったからであるという。モクセイの名はついていないがヒイラギもキンモクセイ属の1種で、これとギンモクセイとの雑種と推定されるヒイラギモクセイは生け垣でよく見られ(図4)、大学3号館前にもある。
たいていの植物は枝を出すとき葉腋(ヨウエキ葉のつけねのすぐ上)から1個だけ芽を出すが、キンモクセイ属では複数の芽が連なって出る(図5)。葉腋に複数の芽があるとき、最初に形成されたものを主芽、それ以外を副芽という。

図1 キンモクセイ
図1 キンモクセイの花と葉。1974/10/07、練馬区石神井町

図2 キンモクセイ
図2 キンモクセイの樹皮。2018/02/09、練馬区石神井町

図3 キンモクセイ
図3 ウスギモクセイの樹皮。2018/02/16、武蔵学園

図4 キンモクセイ
図4 ヒイラギモクセイの生け垣。2018/02/09、練馬区東大泉

図5 キンモクセイ
図5 キンモクセイの主芽と副芽。1985/07/16、練馬区石神井町
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