マテバシイ (ブナ科)

高さ15m径60cmにもなることがあり、多く枝を広げて丸い樹冠を作る。日本特産の常緑高木で、暖帯から亜熱帯に広くみられるが、自生地はおそらく九州以南で、それより北の地域には人の手によって分布が広げられたと推定される。
葉は厚く、上面は深緑色で光沢があり下面は淡褐色で、生木のままでも焚火にくべると煤を出しながら勢いよく燃える。
雌雄同株で花は6月ごろに咲き、雄花は長さ8cmほどの黄褐色の穂になって枝の上部から何本も立ち上がるが(図1)、雌花は目立たない。果実は殻斗とよばれる椀形の器の中で育ち(図2)、翌年の秋に熟して長さ2cm内外の長楕円体となる(図3)。渋味がなくて食べられるほか、酒の原料ともなるという。カシ類などの果実と同様に広義のドングリではあるが、狭義のドングリは丸い形をしたクヌギの果実である。
材は薪炭、器具、建築材のほか、シイタケ栽培のほだ木にも用いられる。

図1 マテバシイ
図1 雄花序。1973/06/08、文京区本郷

図2 マテバシイ
図2 殻斗と果実。1990/12/15、文京区本郷

図3 マテバシイ
図3 果実。1985/03/24、千葉市稲毛区
※無断転載不可