スダジイ (ブナ科)

別名イタジイ。照葉樹林の代表的な樹種で東北地方南部から屋久島にかけて分布し、公園などに植えられて大きな木蔭を作り、建築材やシイタケ栽培のほだ木にも利用される。
構内に見られるものの多くは創立から間もないころに「根津山」から移植されたものである。根津山とは、創立者の初代根津嘉一郎翁が雑司ヶ谷あたりに所有していた広大な土地に対する地元の通称であった。
花は初夏に咲き、雌花は目立たないが雄花は長さ10cmほどの穂に密集してつき(図1)、独特の匂いを放つ。果実は翌年の秋に熟し、カシやナラのどんぐりに似ているが上半部が円錐形に尖り(図2)(図3)、渋みがほとんどなくて食べられる。葉は先の方が細長く伸びて尖り、表は暗緑色だが裏は鱗状の毛が密生して淡褐色なのが特徴。樹皮(図4)はタンニンを含み染色に用いられる。

図1 スダジイ
図1 雄花序。2013/05/13、杉並区下井草

図2 スダジイ
図2 総苞に包まれた果実。1986/11/16、杉並区高円寺南

図3 スダジイ
図3 果実。1989/11/10、千葉市稲毛区弥生町

図4 スダジイ
図4 樹皮。2010/12/17、武蔵学園
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