ケヤキ (ニレ科)

高さ30m径2mにもなる。主な枝が斜め上向きに伸びて、遠くから見ると扇を広げたような樹形となる(図1)。自生地は主として渓流沿いの斜面などだが、各地の庭や公園に植えられ、武蔵野の農家などでは屋敷を囲む防風林によく用いられた(図2)。構内では、大講堂の前と根津化学研究所の前に見られる大木は屋敷林の名残である。構内で最も古いケヤキは大学3号館の中庭にある「ねりまの名木」の1本で、これは校地として買い取られる前の墓地に植えられていたものである。
花は若葉が開くころに咲くが、小さいし枝が高い所にあって目立たず(図3)、地面に散ったのを見て花期が来たのを知る。果実は径3-4 mmのいびつな形で堅く、小さな葉をいくつかつけた枝のままで散り風に舞う(図4)。材は硬くて木目が美しく建築、家具、楽器などに用いられる。老木の樹皮は鱗状にはがれて不規則な模様を残す(図5)
大学3号館と8号館の間のケヤキ並木の中に1本だけ他の樹種が混じっているのに気づかない人も多いかも知れないが、太い枝を水平に近い角度で出しているのはムクノキである(図6)。これは、並木を作る時にまちがえたのではなく、もともと生えていたムクノキを中心にしてその南と北にケヤキを植えて並木にしたのだという。

図1 ケヤキ
図1 標準的な樹形。2015/07/25、石神井公園

図2 ケヤキ
図2 屋敷林。1985/01/15、練馬区土支田

図3 ケヤキ
図3 雄花をつけた枝。2005/04/09、さいたま市秋ヶ瀬公園

図4 ケヤキ
図4 果実をつけた枝。1997/08/14、武蔵学園

図5 ケヤキ
図5 樹皮。2018/02/16、武蔵学園

図6 ケヤキ
図6 ムクノキ(手前)とケヤキ(奥)。2010/11/05、武蔵学園
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