セイヨウハコヤナギ (ヤナギ科)

日本でポプラとよばれるのはたいていこの種類で、観光名所にもなっている北海道大学のポプラ並木(図1)もこの木を植えたものである。南ヨーロッパ原産といわれるが、独特の樹形から世界中の温帯で観賞用に植えられている。
雌雄異株で花は4月ごろに咲き、細長い穂になって垂れ下がる。果実が裂けると白い綿毛をつけた種子が風に舞い散るのはシダレヤナギと似ているが、それほど軽くはなく柳絮のように愛でられることはないようである。
学園内では、今は高中の全天候テニスコートの東側と北側に雄株があるだけだが(図2)、20世紀末ごろまでは南門の近くに大きな雌株が2本あった。春になると綿毛をつけた種子(図3)が大量に飛散して近隣に嫌われていたが、21世紀に入ってからは数年間にわたって切株に名残をとどめるだけで近隣に迷惑をかけることもなくなり、今では切株も朽ち果てて注意深く見ないとその痕跡も探しにくい。
セイヨウハコヤナギを含むヤマナラシ属の学名(Populus)は人民を意味するラテン語に由来し、かつてローマ人はこの木の下で集会を開いたといわれる。
この属の木材は白くて柔らかくマッチの軸木に最適ということで、マッチの需要が多かったころには世界中で乱伐されたという。この材を焼いた炭はデッサンに用いる木炭棒に最適とされる。

図1 セイヨウハコヤナギ
図1 北海道大学のポプラ並木。1974/09/05、北海道大学

図2 セイヨウハコヤナギ
図2 武蔵学園のポプラ並木。2010/11/24、武蔵学園

図3 セイヨウハコヤナギ
図3 樹下に散り敷いた種子。2000/05/09、武蔵学園
※無断転載不可