コハクウンボク (エゴノキ科)

これと近縁のハクウンボク(図1)はかつて高中校舎(現大学3号館)の西翼のそばに生えていて、初夏には3階の窓の近くにも多数の花が咲き白雲を連想させる壮観であったが、コハクウンボク(図2)は大木にはならず、正門と大講堂の間にある株が標準的な大きさである。構内にこの種はこの1株しかない。
若枝にはルーペで見ると星型の毛が密生しているが、皮がむけると表面はなめらかになる。花は白色で、6月ごろ横向きの枝に十数個ほど連なって下向きに咲く。葉の縁に、動物が乱暴に食いちぎったかのような粗くて不揃いな凹凸があるのは、この種の特徴。
「えごた」という地名の由来になったともいわれるエゴノキ(図3)も同属で、果皮を粉にして川に流し麻痺したウナギなどを捕る不法な漁(毒もみ)が行われたことがある。物資が乏しかった時代には洗剤の代わりにも用いられた。

図1 コハク
図1 ハクウンボク。1984/05/21、小石川植物園

図2 コハク
図2 コハクウンボク。2010/05/10、武蔵学園

図3 コハク
図3 エゴノキ。1992/04/23、神代植物公園
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