カクレミノ (ウコギ科)

宮城県以南の本州と四国、九州、琉球の常緑樹林内に生える小高木。葉はしばしば三裂(図1)ときに五裂し、その形から天狗が身を隠すために着るといわれる蓑を連想したのが名の由来。光沢があって形がおもしろい葉を観賞するため庭園樹とされ、病害虫や大気汚染に強く、日陰に植えられることが多いが、樹液にはウルシの樹液と同じくウルシオールが含まれるので、人によってはかぶれることがある。同属のチョウセンカクレミノの樹液は、家具などの塗料とされる。

構内では、大学3号館の南東のあたりにもあったが近年に撤去され、今では東門を入ってすぐの左手に1本だけみられる。この木は、高校20期の卒業生を核として、在校中に同級生になったことのある人たちを含めた集まりである久楽会(音は及落に通じる)が1998年に会を解散するにあたり、会費残額を学園に寄附された中から支出して植樹された。樹種は当時の高中校長が選ばせていただき、隣家との間の目隠しに適するので決めたが、久楽会の先輩たちからは「我々の会に似合った名前の木だ」と言われた。

花は夏に咲き黄緑色で目立たないが(図2)、枝先から多数の花の柄が放射状に出ることはヤツデ(図3)やキヅタ(図4)などと同じでウコギ科の特徴である。果実は秋から冬に熟して黒色になる(図5)。

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図1 カクレミノの葉。2019/07/24、練馬区石神井町

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図2 カクレミノの花序。2019/07/24、練馬区石神井町

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図3 ヤツデの花序。1973/12/05、文京区本郷

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図4 キヅタの花序。2004/10/17、銚子市君ヶ浜

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図5 カクレミノの果実。2004/12/23、板場区立赤塚植物園
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